凛々しく、可憐な許婚
「ちょ、それ卑怯でしょ。尊さん」

「戦いに卑怯も何もない。認められている技だ」

3人でケーキを食べてから1時間後。真那音はすっかり尊に傾倒していた。

きっかけは格闘ゲーム。

真那音は空手を習っていることもあり、格闘ゲームに興味を持っていた。

しかし、幼い頃から後継者としての教育をされてきた真那音は、両親や祖父にゲームが欲しいと言えずにいたのだ。

年の離れた真面目な姉はゲームの種類すら知らない。

学校に親しい友達はいても、皆習い事やスポーツクラブに忙しく、放課後に友達の家でゲームをすることもない。

だから、尊と咲夜のマンションで、リビングのテレビラックに興味のあったゲーム機があるのを見つけた真那音は、驚きと興奮で固まってしまった。

「真那音くん、ゲーム好きなの?」

そんな真那音を見て尊が聞いた。

「,,,やったことはありません」

ボソボソとぶっきらぼうに答えても、真那音の瞳が輝いているのは隠せない。

「やってみる?」

尊に聞かれて

「,,,いいんですか?」

真那音は、ばつが悪そうに咲夜を見上げた。

「え?真那音くんてゲームが好きだったんだね。早く教えてくれれば買ってあげたのに」

まさか、咲夜にそんなことを言われるなんて思ってもいなかった真那音はますます目を輝かせた。

「時間を決めてやれば勉強にも生活にも支障はない。どれにする?」

かくして、真那音は格闘ゲームを選び、尊のレクチャーを受けてから現在、ゲーム中。

神業を繰り出す尊に、すっかり魅せられ、その懐に落ちていったのだった。
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