凛々しく、可憐な許婚

アイスドールと熱血教師

今日は日曜日。

昨日はこのはな学園の創立記念日で学校は休みだったため、咲夜は弓道部の部活動も休みにしていた。

顧問に着任以来、咲夜は弓道部員に対し月に一回は必ず連続した土日の休みを作っている。

日曜日は試合以外は必ず休みだ。

高校生とはいえ、平日は勉強と放課後の部活、土日も終日部活では身体も心も休まらない。

会社員だって休みはある。進学校の学生の本分は、本来、勉強のはずなのだ。

「もっと練習しなければ勝てません」

咲夜が着任当初、休みをとることに反発した生徒がいた。

「それなら、私は一週間練習をしないで、毎日練習したあなた達と試合をします」

咲夜は、月曜から日曜まで毎日生徒に納得いくまで練習をさせた。もちろん咲夜はこの間、全く弓を触っていない。

翌月曜日、咲夜は「練習をしなければ勝てない」と言った生徒達と一緒に的前に立ち、個人戦をやった。

一人、また一人脱落していく中で、結果、最後に残ったのは咲夜だけだった。

「問題は量ではありません。質です。練習するときには真剣に取り組み、後は、己の精神面とどれだけ向きあえるかです。勉強も同じですよ」

項垂れる生徒を前に、咲夜はあの美しい満面の笑みを浮かべて言った。

5段練士を持つ顧問、T大卒の教師からの言葉ならではの説得力もあった。

「大丈夫。土日休みでも全国大会に連れていきますから」

そうして有言実行を果たした咲夜は、生徒からの絶大な信頼を誇る教師となった。
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