凛々しく、可憐な許婚
生徒への噂は、中等部の職員が発端のようだった。

咲夜のクラスの生徒に、中等部教師を姉に持つ者がいて、あの飲み会の席の様子を聞いたのだとか。

職員室の噂は、やはり巨乳小悪魔系教師の井上が発端らしい。吉高が否定しないため、尾ひれがついている状態だ。

「婚約者が吉高先生じゃないなら何?光浦先生、吉高先生にも手を出してるってこと?鈴木先生とも仲いいじゃん。真面目そうなふりしてかなりのビッチ?」

女子トイレで生徒達が噂しているのが咲夜にも聞こえた。

咲夜は大学時代からこの手の噂に巻き込まれることが多かったので慣れているが、今回ばかりは自分の失態だ。

"酔ってあんな風になるなんて自分でも知らなかった、気を付けないと"

個室から出てくる咲夜に驚いた女子生徒達が慌てて口を閉ざす。

にっこり笑って余裕の咲夜に、生徒達はばつが悪そうにしている。

「,,,先生、本当のところはどうなんですか?」

生徒の質問に咲夜はためらわずに答えた。

「私が愛してるのは婚約者1人だけです。言い訳はしません。皆さんも授業に遅れないように急いでね」

背筋を伸ばして優雅に立ち去る咲夜は全くぶれていなかった。

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