凛々しく、可憐な許婚
「どういうことかな?説明しなさい」

学園長室には、尊、咲夜、井上、田村に加え、生徒指導室に咲夜と田村を呼びつけた中川満里奈が集まっていた。

「まずは中川さん、どうして君は光浦先生と田村先生を呼び出したのに生徒指導室に来なかったんだい?」

学園長の質問に平然として中川が答える。

「進路のことで相談があったんですけど、部室に忘れてた物を取りに行ってたら遅れちゃって、何かあったんですか?」

わざとらしいほどに棒読みの発言に学園長がため息をつく。

「嘘の証言がバレたら相応の処分が下ると思いなさい。君はもう行っていいよ」

青ざめた中川は、何か言いたげに振り返りながら学園長室を出ていった。

「それで、田村先生と光浦先生が見たのは、着衣を乱した鈴木先生と井上先生ということかな?」

学園長が顔色を変えずに聞いた。

「はい、呼び出されて生徒指導室に行ったものの、生徒はおらず、中にいたのは、その,,,胸をはだけて倒れた井上先生とその脇で佇んでシャツのボタンをかける鈴木先生でした」

「間違いない?光浦先生」

「はい、間違いありません」

唇を噛み締めて涙を浮かべる咲夜は痛々しかった。

「井上先生は鈴木先生と付き合っていて、同意のもとでことに及んだと言ったそうだね」

「はい、だから場所はともあれ、私たちは付き合っているのですから事件性はありません」

はにかむ井上は全く反省している様子は見られない。

「鈴木先生、井上先生の言っていることは事実ですか?」

「いいえ、僕は自分から井上先生に触れてはいませんし、付き合ってもいません」

「ひどい、鈴木先生!私が学校では嫌だって言ったのに結婚してやるからって無理やり乱暴したくせに,,,」

両手で顔を覆った井上の肩を、田村がそっと抱き寄せ、尊をギッと睨んだ。

「ということは、どちらかが嘘をついているということになるな。この件に関しては何らかの処分を下すつもりだが、不服なら弁護士でもたてるかい?」

「いえ、私は尊さんが結婚してくれるなら訴えるつもりなんてありません。愛していますから」

それを聞いて、尊が黒い笑みを浮かべてニヤリと笑った。
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