凛々しく、可憐な許婚
「あーあ、鈴木先生と咲夜先生が許嫁ってばれちゃった。あと三ヶ月は揺さぶりかけるはずだったのに、井上先生のせいで台無しじゃん」

吉高は、職員室に戻ってきた尊と咲夜を見て言った。

「吉高先生は、咲夜のお祖父様が差し向けた刺客なのでしょう?」

尊の言葉に驚いた咲夜が

「そうだったんですか?祖父が申し訳ないことをしました」

と吉高に謝罪をした。

「いや、面白そうだし、半分は小遣い稼ぎの意味もあったんだけど、咲夜ちゃんを本当に落とせたらお嫁さんにあげるって言われて、半ば本気でもあったんだよね」

「だけど、途中から、明らかに咲夜ちゃんが鈴木先生を好きになってるのがわかってあきらめた。だけど焦れったすぎて少し活を入れたってわけ」

咲夜は吉高の真意と祖父の企みがわかってホッとした。

「今回の噂でもご迷惑をお掛けしました」

咲夜が謝罪すると

「このままほっといたら、俺が婚約者ってことで固まって、もしかしたらなし崩しに二人の中がこじれるかもって期待もあったんだよ。俺はそんなにいい人じゃない」

と吉高が笑った。

放課後の職員室は、補習を担当する教師と、部活動の顧問で離席している教師が不在となり、今は尊と咲夜、吉高の3人だけだった。

「咲夜は誰にも渡しませんよ。なんせ、俺は10年来のストーカーですから」

「はいはい、もう邪魔しませんよ。婚約を公表されたのに横やりいれたら俺が悪者だし。これからは優しく見守ることにします」

苦笑する吉高に咲夜は満面の笑顔で

「ありがとうございます」

と言った。

「うー、やっぱ俺にしない?咲夜ちゃん、可愛すぎ」

抱きつこうとする吉高を尊が引き剥がす。

やはり吉高はただでは転ばないのだった。

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