主任、それは ハンソク です!

「とりあえず、両方の話は聞くけど、男子は俺を味方前提で自分たちに不利な話はしないし、女子は女子で当事者じゃないヤツらが説明するから感情的だわ話も明らかに盛られてるわで、どうにも客観性に乏しい」

 すごい。小学生なのに、現場の状況をそこまで冷静に見ているとは。

「しかも担任は『サラブレットのお前なら絶対やれる!』とか、小学生相手に平気で言うような無責任脳筋だから、全くあてにはならない。しょうがないから自分なりに考えて、互いの妥協点や譲歩点を探ろうとするけど、それをするには人生経験が足りな過ぎて、結局、どうにもならなかった事の方が多かったな」

 でも、そんなに一生懸命悩んでくれる人がいたら、たとえその場が解決しなくったって、私なら、それだけで、救われるのに。

「まぁ、本音を言えば、男子のアホさ加減満載の言い分に同調する気はさらさらなくて、かと言って女子の感情的正論に肩入れすると『女好き』とか馬鹿にされるしで。もう、針の筵だったよ、あれは」

 苦笑する主任を横目に、グラスの梅酒サワーをぐいっと飲み切る。

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