主任、それは ハンソク です!
9 / 主任、わたしはホントに、どうすればいいんでしょう

「……あの」
「ん?」
「昨日は、その」
「ああ、大丈夫だったか?」
「……はい」

 朝。いつもと変わらず忙しそうにメールと電話を捌く手元を止めて、主任がこっちを見た。
 対する私は、主任を直視できずにいる。

 昨日の夜は、酔いで目を回す私を主任が家までタクシーで送ってくれた。
 問題はその時に起こった、……みたい。
 いつまでたっても(と言っても、夜の10時前)帰ってこない私にヤキモキしていた祖父母と父親が、酔っ払いの私を連れて現れた主任に殴りかかる勢いで罵声を浴びせた、らしいのだ。

 正直、詳しい事が私にはわからない。

 何せ情報源が祖父と父親だから話半分も当てにはならないし、祖母には延々だらしないと詰られた。母親はいつも通り、祖母の背後でちょっと困ったような笑みを浮かべるだけ。

 更に追い打ちをかけるのが、初めて経験する二日酔い。くらくらむかむかする体をどうしたらいいのか、私には全然分からない。

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