主任、それは ハンソク です!

 先週、といえば。美知留さんがこの辺では有名なお嬢様学校、桜花女学院の出身だと話題に上っていた。
 さっきの既視感はまさに、桜花女学院でまず初めに教え込まれるお辞儀、通称『桜花礼』。正門近くに植えられている学校のシンボル、枝垂れ桜のように凛々さと美しさを併せ持つ(と先生たちがしつこく言う)このお辞儀は、私も中学に入学した当初からしっかり教え込まれた。
 未だに何かの拍子に出てしまうほど、今ではしっかり体に染みついている。

「そうだ。偉人から、洋子さんがご実家を出られたのって、実はお見合いの当日だったって聞いてびっくりしてたの。大丈夫だった?」

 はぁ、と曖昧に返事をする。
 まるで自分の意思で出たかのように美知留さんは言うけれど、実際は俗にいう『勘当』で、なし崩しに私は家を追い出されただけだ。

                 *   *   *

 すっかり滅茶苦茶になったお見合いの後。

 私と主任を残し、みんなは我が家の本家へと連れ立っていった。元々、大叔母に借りた着物を返すついでにお見合いの結果報告も兼ねて、と入れていた予定だったけど。なぜか、佐野ご夫妻が自分たちもご一緒したいと言い出した。
 さすがに、祖父以上に頑固でイレギュラーを嫌う大叔父も、佐野先生は拒めなかったらしい。

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