主任、それは ハンソク です!

 着替え用に借りていた控の間で、あたふたと電話で本家とやり取りする母を後目に、着物を分捕るように脱がせる祖母にされるがままになりつつも、私はひたすら無言を貫いた。

 その間、祖母はたくさんの恨み事を私に吐きだし、対して母は甘言を流し込んだ。

 それでも全く口を閉ざしたままの私に、着替えが終わるとほぼ同時、隣の続き間から祖父と父が入ってきて、途端に祖父は私に罵声を浴びせた。
 最後の方は怒りのあまりか、何を言っているのかわからないほどの怒号になっていたけれど、その中に、勘当、という単語が幾度か入っていたから、多分、勘当されたのだんだと思う。

 実は、未だにそれが本当だったのか、分からないままだったりする。

 祖父の声があまりのひどかったからか、佐野ご夫妻が飛び込んできて、さすがに祖父も一旦は矛先を納めた。
 でも、握られた拳はぶるぶると震えていたから、本当は今すぐにでも私を殴りたい違いない、そういえばあの拳で殴られるのは何か月ぶりだろう、なんてぼんやり考えていた。

 そうしているうちに、佐野ご夫妻が突然、先の提案をしだし、あれよあれよという間に私の家族を連れて行ってしまったのだ。

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