主任、それは ハンソク です!

               *   *   *

「正式な採用通知は、来週早々に本社から来るそうだ」

 私の隣でそう言いながら、主任……じゃなくて、東吾さんが大好物のボロネーゼパスタを頬張った。

 大きなソファに二人並んで食べる夕飯のスタイルが、私たちの間ではすっかり定着していた。

 キッチンにはダイニングテーブルもあるけれど、それは忙しい朝食の時だけ。夕飯のまったりペースに、この、ゆったりしたソファスペースがなんとなくあっているのかもしれない。

「ん、んまいっ」
「サラダもまだ、ありますから」

 彼の好物が洋食全般だと知ったのは、今夜の夕飯リクエストの時。

 居酒屋や料亭とか和食で同席することが多かったせいか、勝手に和食好きなのかと思っていただけに、意外な事実にちょっとだけかわいいなと思ってしまったのは、心の中にしまっておく。

「……でも、本当にいいんでしょうか」
「なにが?」

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