主任、それは ハンソク です!
「ヨーコさんは優しいから、尊敬とか感謝とか、そういう言葉でオブラートに包んで断ってくれたんだよな」
「私っ、何を、どう、断っちゃったんですか!?」
彼女の滅多に聞けない明確な大声に、俺は一瞬呆気にとられた。
「私、何も断ってないですよ? それよりも、主任が何を言おうとしているのかさっぱり分からないです」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
困惑する俺を差し置いて、彼女はすらすらと饒舌に言葉を並べ立てていく。
「今日の言葉って、どの言葉ですか? 今日はたくさん主任と話しましたから、どれなのか絞り切れませんよ。ああもう、この際だから言わせて下さいっ。主任はご自身を説明下手って言いますけど、その原因、解っていますか? 肝心な言葉をいつも外して説明されるんです」
普段のおどおどしさが、微塵も、ない。
「でもって、補足しないでどんどんどんどん話を進めるから、全っ然伝わらないんです。清住さんやカジタツさん、……あと、紗智子さんみたいに、察して会話することは、正直、私には無理ですもんっ」
呆然自失な俺に、彼女はなおも畳みかけてくる。