主任、それは ハンソク です!
背後から掛かった声に、私はまたしてもびくりと体を強張らせ、主任は主任で背後に飛びのいた。
「もー、何やってんですか? 主任。いくら美乳フェチだからって、それはやっちゃだめなヤツでしょ」
商品部のやり手バイヤー、清住(きよすみ)さんがニヤニヤしながらこちらに向かってくる。
「いやっ、違うっ! これはっ、だからっ! そういうのじゃなくてだなっ!」
あー、はいはいはい。なんて、あの主任を軽くいなしてしまう清住さんは、今年入社3年目とは思えない実力と実績の持ち主。主な担当は菓子と日配品(要冷蔵の賞味期限の短い食品類)だけど、特に新商品をどこよりもいち早く仕入れるのが得意という、スーパー・ダイヤスのエース、なんだとか。
でも、彼にはもう一つ、顔がある、らしい。
「で、何の用だ? キヨス」
そう、この『キヨス』。
彼は件の、清州産業グループの御曹司(もちろん、久住情報)。なんでそんなすごい人が、こんな一地方の中小小売企業に居るのかというと、もちろん、この会社の合併を促すため、らしい。