主任、それは ハンソク です!
慣れなきゃ、ですよね。そういって、はにかむ彼女が愛おしい。ここまでの恋愛感情を持ったのは、正直、初めてだ。
「あの、冷蔵庫、見てもいいですか?」
「あ、ああ。いくらでも好きなだけ見てくれ」
クスクスと彼女が笑う。なんか、変な事を言っただろうか、俺。
「……あの、主任?」
「あ……、う、うん」
一人暮らし用の小型冷蔵庫とはいえ、その大半を占めているのが、まさか惣菜のトンカツだとは誰も思いもしないだろう。俺だって、今の今まですっかり忘れていたくらいだ。
「惣菜部門で昨日、トンカツのテコ入れやっただろ? あれの残りだ」
半年に一度、部門ごとに商品の見直しを行っている。今回の惣菜部門でのテコ入れ商品は、一番人気のトンカツだった。担当の小僧が張り切り過ぎて、何種類ものパターンを試作したばかりにみんな食べきれず、結局、独身者に残り物をノルマとして押しつけられた。
「これでも何とか減らしたんだが、衣の分厚いヤツが残ってしまって……」
彼女が今度は野菜庫を開ける。ふむふむと何やら頷くと、もう一度冷蔵庫をあけ、ドアポケットを覗き込む。