主任、それは ハンソク です!

「これが、独占欲ってやつか」
「え?」

 心の声がうっかりこぼれ出た。慌てて何でもないと取り繕うと、彼女もそれ以上は何も言わず、にこやかに箸を進めている。

 料理が美味いと、つい酒の進みも早くなる。あっという間にグラスが空になった。

「お酒、注ぎましょうか?」

 相手に強要したりされたりするような飲み方は嫌いなんだが。

「……そうだな。じゃあ一杯だけ、お願いしようか」

 涼し気な江戸切子のグラスを彼女へと差し出すと、ぎこちない手つきで、それでも懸命に彼女が錫製の片口を傾ける。

 ふわりと、ふくよかな香りが立った。

 それに誘われるように、グラスへと口を寄せる。彼女が手ずから注いでくれたこの一献は、陳腐な言い方だが極上の甘露だ。

「……あの、一杯だけで、いいですか?」

 そんな、上目遣いで可愛い事を言われたら、引くに引けなくなるだろう。

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