主任、それは ハンソク です!

 俺はほぼ空に近いグラスを手に、しばし悶々と葛藤する、も。

「……これはもう、二日酔い確定だな」

 苦笑しつつ、彼女へと再びグラスを差し出す。

 彼女の不安げな顔が、途端に花でも咲いたかのような笑顔に変わると、またしても珠玉の一杯が振る舞われる。

「……ほんと、うまい」

 まさに、イチオシの旨さだ。

「よかった……」

 ほんのり頬を染めてつぶやく彼女の、ぽってりとした唇につい見惚れる。そういえば、さっきまで俺はあれを……。って、何考えてんだ。

 これはまずい。
 さっさと酔い潰れておかないと、彼女に何をしでかすか、正直、自信がない。

 いや、まて。いっその事、酔いに任せてしまうのもありかもしれない。

 彼女はどうも俺のことを、非常に頼れる大人の男だと思いこんでる節がある。
 そんなことはない。俺だって本当はその辺の馬鹿野郎の一人なんだぞ、と知ってもらう良いチャンスじゃないか。

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