主任、それは ハンソク です!
「いいか、これが例の広告掲載商品のPOP発注一覧だ」
主任はそう言うと、あたふたと駆け寄る私にここに座れとばかりに椅子をひいてくれた。私がもたもたと腰かけると、絶妙なタイミングで椅子を押す。
意外とジェントルな所作。
なるほど。見た目だけじゃなくて、こういうスマートな所とかも人気の一つなのか。
「まず、このプリントが来たらPOPの種類とサイズ、それからイレギュラーが無いかを確認する」
私の目線まで屈んで説明してくれるのはありがたいんだけれど。なんだかちょっといい香りがする。なんだろう、これ。柑橘系のトニック?
いやいやそれよりも、声。
声が耳に近すぎて、なんだか頭がくらくらするし、腰の辺りに声が溜まるような、なんか、へんな感じがする。
「で、イレギュラーがあれば、その指示に沿ってPOPを新規制作」
い、イレ、ギュラ? またしても新たな単語が出て来たとたん、私の反対横に更なる壁が現れた。