主任、それは ハンソク です!

「みんなで入り口塞いで何やってんですか? 俺、入れないんですけど」

 女性陣から頭一つ半抜きんでた人影が見えた。

「こんなところで油売ってるヒマがあるなら、とっとと戻って仕事してくださいよ?」

 その声に、モーゼの十戒よろしく人垣が左右に分かれた。

「……あ、清住さん」

 見知った顔に思わず私は安堵する、も。
 遥か上空から睥睨する彼の目元には、明らかな侮蔑が滲んでいる。少し癖のある色素の薄い茶髪に、これまたちょっと茶味がかっている瞳。イケメン、というか、もはやただのイケメンでは済まされない綺麗な造形をしている人だから、返ってそれが何十倍も恐ろしく感じるのは、私だけ……、ではないみたい。

 みんな、先生に悪戯を見つかった小学生の様にもぞもぞしている。

「おい、福間ぁ」

 リーダさんが体をビクーンとさせた。そうか、あの人は福間さんていうんだ。

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