主任、それは ハンソク です!
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「じゃあ、アイツらには今晩の事は言ってないんだ」
清住さんがあからさまに安堵の笑みを漏らす。やっぱり判断はまちがってなかったみたい。
「はい、……でも、清住さんはご存知だったんですね」
そりゃもう、と彼が満面の笑みで頷く。一瞬、彼の顔が昔読んだ物語の挿絵に出てくる不思議な猫と被って見えた。
「我が社の定例報告会のモットーは、無礼講。だから得野さんも、遠慮しないで主任に対して思ってる事や止めて欲しい事、バンバン言ったほうがいいよ。例えば、そうだなぁ……。声がでかい事とか、やたら声が大きい事とか、とにかく声がうるさい事とかね」
私は思わず噴き出した。
パソコン画面をみて、清住さんがニヤリとまた笑う。
「おー、やってますねぇ」
「はい、おかげ様で」