主任、それは ハンソク です!

 清住さんが脇に置いてあったマニュアルを手にすると、パラパラとめくりながらケラケラと笑い出す。

「あーあ、ホントあの人らしいわ」

 そう言いながら、またしてもページを繰っては笑い転げる。

「……あの。清住さんと主任って」

 すると清住さんは、いたずらっ子のような笑みでこちらを見る。

「あの人と俺とはね、学校の中等部から生徒会で一緒に仕事したり、何かと腐れ縁でね。大学のゼミまで一緒な先輩後輩の間柄なんだけど。まぁ、とにかく昔っから説明ベタで要領悪なの。そのくせ、こうやってプレゼン資料とかマニュアルとか作らせれば天下一品なんだよね。だから今回も、口だけで説明するな、ちゃんとモノ作ってプレゼンしてやれ、って忠告しただけ」

 そういう事なのか。

「で、どう」
「はいっ、すごくわかりやすいですっ!」

 清住さんはまるで自分の事の様に、満面の笑みを返してきた。何だかんだ言って、鈴原主任の事が好きなんだろうな。

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