主任、それは ハンソク です!

 あの日、居酒屋で別れる直前、もし、今日の事で何か部外者が言って来たら堂々と、販促の定例会だったと言っておけ、と言われた。

「急用というか、販促の定例会でした」

 ぎこちなく返事すると、なぜかみんな、くわっと目をむく。

「ちょ、ちょっとまって!? それってやっぱり!」
「えー、そんな話、聞いてなぁ~い!」
「マジで、どういうこと!?」

 予想通りの反応が返ってきた。さらに、主任の言葉を続ける。声が上ずりそうになるのを、なんとかこらえる。

「しゅ、主任の話だと、今後は、ど、どこの部署とも合流せずに、販促独自で、定例会を行うそうです。何かあれば、主任自ら説明するそうですので、詳細は主任にお聞きくださぁいっ」

 私は早口でまくしたてると、給湯室から足早に逃げだす。その直後、給湯室からは阿鼻叫喚の声が轟いた。

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