主任、それは ハンソク です!
結局、その日。主任が会議から戻ることはなかった。
会議室の前まで行ってはみたけれど、外にも激しいやり取りが漏れ聞こえるほど会議は白熱しているようだ。
その時、ひときわ大きく聞こえた主任の声に、心がどきりと反応する。
でもそれは、最初の頃の単なる恐怖とは違う、何か別のもののような気がしたけれど、それが何というものなのか、私には今一つわからなかった。
* * *
「ポスター案、決まったぞ!」
次の朝。私が販促室のドアを開けるのとほぼ同時に、主任が叫んだ。
「あ、は、はいっ!」
慌てて机に駆け寄ると、その上に置かれた妙に見慣れたソフトのパッケージに視線が留る。
「何とか予算がついた。お前さんは、コイツらの方がやりやすいんだよな?」
エルド社のイラストレーションとフォトショット。
しかも、プロフェッショナル仕様版。私が普段使っている簡易版とは違う、まさしく本物。