主任、それは ハンソク です!
ふいに、主任が私の顔を覗き込んできた。
「……おい」
「は、はい?」
なんか、主任の目つきが、怖くなってる。
「……ちゃんと人の話、聞いてんのか?」
し、しまった。
「浮かれるのは結構。初めての大仕事だ、とむらの気持ちは分かるがな」
私は咄嗟に目をきゅっと瞑って、落雷に備える、も。はぁ、と盛大なため息が聞こえただけで、その後の気配は一向にない。私は慌てて頭を下げる。
「も、申し訳、ありませんでした。すぐに第1案の色違いバージョン作ります」
ああ、と。なんだか投げやりな主任の声だけがして、足音がその場から遠のいていくと、背後でドアの閉まる音がした。