主任、それは ハンソク です!
ただ、今回は相手が悪かった。小学生や中学生の男子じゃなくて、あの久住先輩だ。
「ほほぉーん。と、いう事は、だ」
何か裏でも取れたような雰囲気。なんだろう、ちょっと気になる。
「いやいやいやいや、ん、ありがとうっ! そうだよね、うんうん、そうそう。じゃあ、お仕事、がんばって、ね!」
一方的にそう言い放つと、久住先輩は脱兎のごとく走り去っていった。私の心の中に、なんだか意味不明なモヤモヤが燻りだしている。
「少し、気分かえよう」
私はそう独り言ちると、化粧直しのポーチを片手に席を立った。
*
「あーあ、がっかり!」
いきなり化粧室の扉の向こうから聞こえた声に、思わず足が止まった。