主任、それは ハンソク です!

「あの天下の清伝堂プロジェクトリーダーで課長職よ? しかも、清州産業の西日本統括室長付で、いずれ本社に戻れば部長昇進間違いなしの将軍様が!」
「ほんと、逃した獲物はでかいわぁ」
「何言ってんのよ、逃す前に相手にもされてないじゃないの、私ら」
「だって、あんなかっこいい人よ? 彼女の1人や2人どころか、何人いたって不思議じゃないってぇ」
「えー、あたしの主任はそういうキャラじゃないよぉ」

 ふと、久住先輩とのやり取りが頭をかすめた。土曜の朝がどうの、と言っていたはず。

 私と別れた後に、主任は例のホテルに向かったんだろうか。そうか、だから早くにお開きにしたのか。
 別に私の事を気遣ってくれたわけでもなんでもなくて。

「それにしても、綺麗な女性と可愛らしい女性が主任挟んで、土曜の朝っぱらからエキナカのカフェで修羅場って、やっぱり都会の人はすごいよねぇ」
「だぁかぁらぁ、あたしの主任はそういうキャラじゃないってぇ~」

 頭の中がじわじわとしびれてくる。
 私はポーチを握りこんだまま、その場からそっと立ち去った

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