主任、それは ハンソク です!

「昨日は戻れなくてすまなかったな」
「い、いえ……」

 ずっと緊張し続けていた体が一気に解けていくあまり、その場にへたり込みそうになるのを、何とか踏ん張って席へと向かう。

 結局。昨夜はあれこれと無駄に頭を悩ますあまり、まんじりともせず過ごしてしまった。席に着いたとたん、無性にこみあげてくるあくびを必死にこらえる、も。

「総務から健康診断のお知らせが来てるぞ。都合のいい日があれば……」

 しまった! 今のは完全に見られた。

「なんだ、寝不足か?」

 今度こそ、絶対に雷が落ちる。

「なんか面白いDVD……、いや。とくだなら、小説あたりか?」

 はずなのに、落ちてこない。しかも名前はやっぱり間違ってる。

「でも、そういうの、あれだろ? お肌に悪い、とか何とかじゃないのか?」

 その元凶に言われたくない、という言葉を更なるあくびと一緒にかみ殺す。

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