主任、それは ハンソク です!

 昨日の今日で、なんで主任はこんなに機嫌が変わってるんだろう。むしろ怒ったままの方が、昨日の不謹慎な態度の事も謝りやすかったのに。
 
 もしかして。例の女性たちと……。

 私の頭の中が目まぐるしく動作する。しかも、ナチュラルに名前も間違い続けてる。
 もう、何なの。本当にわけがわからない。

「お、おい、どうした?」

 主任がギョッとして立ち上がる。

「え?」
「ちょ、ちょっと、待て」

 そういうと、あたふたといぶし銀風のブリーフケースを漁りだした。どうしたんだろう。

「ほら、これで拭け」
「あのぉ……」
「いいからっ! 化粧とかついてもいいからっ! ほらっ!」

 私は何が何やらわからないままに、ぴしりとアイロンされたハンカチを受け取るも、それを手にしたまま戸惑っていると。

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