主任、それは ハンソク です!

「呆れただろ。俺なんて、はったりだらけの単なる小物だよ」
「……そんな、ことは」

 言葉が詰まって出てこない。こんな時、さらっと気の利いた一言を言える人が心底うらやましい。

「すまんな、つまらん話だ。忘れてくれ」
「えっと、その」

 主任の焼酎を煽る手が止まった。
 ああ、やっぱりだめだ。伝えたい事はたくさんあるのに、上手く言葉にすることができない。

 ちらりと主任を伺うと、主任とばっちり視線があったから、あたふたと意味もなくお手拭きでテーブルを拭きまくる。

「……ぷっ」

 突然、弾けたように主任が笑い出した。なんで、何が起こってる?

「す、すまない。なんか、なんだろうな。……ぷふっ」

 なおも笑い続ける主任を見ているうちに、さっきまで感じていた同情心が木っ端微塵に吹き飛んだ。

< 86 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop