主任、それは ハンソク です!

「彼女があのグループを壊した、とかいうヤツもいて、賛否両論な存在だけど。一人の芸術家としては、俺は面白い女性だと思ってる。表現とか芸術って意味じゃ、決して悪くない名前だと思うよ」

 今までどうしようもなく嫌だった名前なのに、こんな風に言ってもらえて、すごく、嬉しい。

「……あ。そう言えば」

 思い出した。クラス替えで離れたいじめっ子も、塾の休憩時間に何やら自慢げに、そのグループの音楽について、ちゃごちゃ言ってきた記憶がある。

「ああ、それはソイツなりの精一杯の大人アピールだな」
「大人、アピール?」

 そうそう、と主任は楽し気だ。

「俺はその辺のガキとは訳が違うぞ、もうこの歳で洋楽聞いてんだぞ、すごいだろ? だから、いい加減、俺の事好きになってよ、ってアピール」

 何、その、意味不明なアピールは。

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