眠れる窓辺の王子様
四章 黄昏時の泪
ハルカと一か月ぶりに話し、仲直りしてから数日たった学校の帰り道。
三者懇談が始まって四限目で帰宅することができた私は、道の先に見覚えのある背中を見つけ、「あ」と声をあげる。
しかしいつもと違う服装に、人違いかもしれないと思い、暫く観察し、そして恐る恐る声を掛けた。
「……ハルカ?」
ゆっくりとその背中は振り返る。
「あ、ミクだ。こんにちは」
にっこりと笑ったハルカの、その服装に目を丸くする。
チェックの灰色のズボンに、襟のふちが黒いポロシャツ。
隣の、その隣の校区にある第三中学校の制服だった。
「なんで、制服……」
「制服を着て学校に行くのは当たり前でしょう?」
不思議そうな顔で首を傾げそう言ったハルカ。
すこしイラっとした私は、ハルカの頬をつまんで捻る。