眠れる窓辺の王子様




 何を言っても、ハルカはどこか寂しげに、そして困ったように微笑むだけだった。




 きっと馬鹿なこいつには何をいっても、もう駄目なんだ。

 自分勝手で気まぐれで、気分屋だけど誰よりも頑固者で意志が強いのを、私はよく知っている。


 それがハルカの決意なら、もう私も他の誰も、きっとどうにもすることはできないのだ。



 「今日で、いっぱい幸せ貯金溜まったよね。だからもう、おれ手伝ってあげなくても大丈夫でしょ?」



 何度も何度も首を横に振った。



 大丈夫なわけない。


 足りなくなったらどうすればいいの。

 私ひとりじゃ、見つけることができないの、よく知ってるでしょ。



 ハルカと一緒にいたから、ハルカと冒険したから幸せが見つかったんだ。

 どの景色もハルカと見たから、幸せな景色になったんだ。


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