エリート弁護士と婚前同居いたします
「で、どうして俺の食事が毎日豪華だと思ったわけ?」
ふいに彼が話を変える。
「だって弁護士だから」
小さな声で返事をする私の額を、箸を置いた朔くんが長い指でつつく。
「あのな、俺は俺なの。お前まで俺をそんな色眼鏡で見るな」
彼が溜め息まじりに言う。その時の朔くんの表情がどこか寂しそうでツキリと胸が痛んだ。彼が何を思ってそう言ったのか、何があったのかはわからない。ただ、どこか傷ついたように見える彼を慰めたい衝動にかられる。
コトン、と箸を置く。
「ごめん、なさい」
素直に謝罪の言葉を口にすると、彼が目を見開く。焦げ茶色の瞳が動揺で揺れていた。
「お前、何、急に……」
「朔く、ん?」
どうしたの?
不安になって身を乗り出し、顔を覗きこもうとする私を彼が制する。
「……見るな。もう本当にお前、いきなり素直になるとか勘弁して。調子が狂う」
彼の耳がほんのり赤くなっていた。
ふたりで食べる食事は思いのほか楽しかった。立ち直った彼と他愛ないことを話す。
食事の後片付けを一緒にしている時、彼が思い出したように言う。
「鍵なんだけど、センサーの処理をしていないスペアしか手元になくて、今業者に頼んでるんだ」
オートロック、宅配ボックスのセンサーなど色々な情報を組み込むため、作成に時間がかかるそうだ。センサーがないスペアキーの場合、正面玄関ではなく脇にある駐輪場の入口からしか出入りできない。夜は外灯があるとはいえ少し薄暗い場所だ。
「そっか、じゃあ朝は朔くんと一緒に出たらいい? 帰りは連絡するから」
テーブルの上を拭きながら彼に尋ねる。
「いや、俺は大体毎朝八時くらいに家を出るけど、帰りの時間は確定できないことが多いから。俺の鍵を茜が持ってろ」
食器をキッチンに備え付けられた棚に収納しながら、朔くんが返答する。
ふいに彼が話を変える。
「だって弁護士だから」
小さな声で返事をする私の額を、箸を置いた朔くんが長い指でつつく。
「あのな、俺は俺なの。お前まで俺をそんな色眼鏡で見るな」
彼が溜め息まじりに言う。その時の朔くんの表情がどこか寂しそうでツキリと胸が痛んだ。彼が何を思ってそう言ったのか、何があったのかはわからない。ただ、どこか傷ついたように見える彼を慰めたい衝動にかられる。
コトン、と箸を置く。
「ごめん、なさい」
素直に謝罪の言葉を口にすると、彼が目を見開く。焦げ茶色の瞳が動揺で揺れていた。
「お前、何、急に……」
「朔く、ん?」
どうしたの?
不安になって身を乗り出し、顔を覗きこもうとする私を彼が制する。
「……見るな。もう本当にお前、いきなり素直になるとか勘弁して。調子が狂う」
彼の耳がほんのり赤くなっていた。
ふたりで食べる食事は思いのほか楽しかった。立ち直った彼と他愛ないことを話す。
食事の後片付けを一緒にしている時、彼が思い出したように言う。
「鍵なんだけど、センサーの処理をしていないスペアしか手元になくて、今業者に頼んでるんだ」
オートロック、宅配ボックスのセンサーなど色々な情報を組み込むため、作成に時間がかかるそうだ。センサーがないスペアキーの場合、正面玄関ではなく脇にある駐輪場の入口からしか出入りできない。夜は外灯があるとはいえ少し薄暗い場所だ。
「そっか、じゃあ朝は朔くんと一緒に出たらいい? 帰りは連絡するから」
テーブルの上を拭きながら彼に尋ねる。
「いや、俺は大体毎朝八時くらいに家を出るけど、帰りの時間は確定できないことが多いから。俺の鍵を茜が持ってろ」
食器をキッチンに備え付けられた棚に収納しながら、朔くんが返答する。