君と永遠に続く恋をしよう
ドギマギしながら、出来れば何も言い出さないで欲しい…と願う私の側に来て、彼はこそっと耳打ちする。


「後で話がしたい」


二人だけで…と言われて胸が弾む。
やっぱり昼間に電話をしたのは何故かを聞きたいんだ…と焦り、「いい?」と問う彼に、困惑した眼差しを向けた。


「昼間のことを気にしてるんなら、別に何でもなかったからいいんです。大した用事でもないのに電話したりして、ごめんなさい」


そこまで言うと、父がワインとビールを抱え込んできて、桜庭さんに向かって「一杯やりましょう」と勧めだした。お陰で話はそこで中断し、私はホッと胸を撫で下ろす。


(良かった。ナイスなタイミング)


燥ぐ父の行動に安堵しながらも、呉々も飲み過ぎないようにね…と声をかけた。

桜庭さんは残念そうにしつつも飲み相手を始め、そのうちおつまみを用意してきた母も混ざり、四人で食卓を囲んで会話した。


兄と同い年の桜庭さんがそこに居るだけで、生きてた頃と同じ感覚が蘇ってくる。

兄さんじゃないのに…と思うと胸の奥が熱くなり、妙に寂しく感じてしまった……。


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