君と永遠に続く恋をしよう
「君にそう言われると安心するよ。賢也はきっと俺に、『約束を守れよ』と思って逝った筈だから」


そんな風に言われると言葉に詰まる。
兄は急に亡くなり、私たち家族一人一人には何も言わず、あの世へと旅立ってしまったんだ__。


ぐっと声にならないものを感じて胸の奥が締め付けられる。
泣かないようにぎゅっと唇を噛んで堪えると、斜向かいに座ってる桜庭さんは……


「そんな訳で、今日から俺は君の恋人な」


あっけらかんとそう言うと立ち上がり、私は呆然と背の高い彼を見上げながら、瞬きを数回繰り返した。


「よろしく。奈央さん」


上から伸ばされてくる手に吸い寄せられるように手を伸ばした。

彼は私の手を握るときゅっと力強く握り、こぼれ落ちるようなスマイルを浮かべた。



(わぁ…)


声にもならずその顔を見つめて、気づくとぼうっとしたまま彼の背中を見送っていた。



「…ねぇ、奈央ちゃん!」


背後から声をかけられてビクッとする。
振り返れば角川さんが立っていて、大きな丸い目を更に見開いてこっちを見てた。


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