皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットはナディアの声で目が覚めた。

「姫様、さあ起きてください。今日は姫様の大切な日ですよ」

 できれば起きたくなかった。思い出すのはアロイスのことばかりで、夢の中にも出てきたくらいだ。

 皇帝との結婚なんてどうでもいい。

 そう思ってしまったが、王女としての義務感が勝った。

 身体を起こすと、ナディアが驚いたような声を上げる。

「瞼が少し腫れているように見えますわ。昨夜はあまり眠れなかったのですね?」

「ええ……ちょっと」

 まさか泣き腫らしてしまったとは言えないから、そう言っておく。

「めずらしいですわね。姫様は大概のことは動じないように見えますのに」

「そうでもないわよ……。わたし、意外と繊細なんだから」

 真面目に言ったつもりだが、冗談だと思われて笑われてしまった。
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