皇帝陛下の花嫁公募
 それなら、彼女を寵姫として傍に置くというのはどうだろう。これなら、彼女の望む贅沢はさせてやれる。それに、属国とはいえ、王女を寵姫にするのは辱めを与えることになって、自分の気持ちも満足するだろう。

 そんな想像をしてみたものの、アンドレアスは急に自己嫌悪に襲われる。

 なんて愚かしい考えだ!

 傷つけられたからといって、相手を辱めてやろうという考えは、あまりにも心が狭い。それより、リゼットのことをきっぱり忘れたほうがずっといいに決まっている。

 結局のところ、花嫁を公募してみたところで、身分や地位、金に惹かれた亡者どもが集まっただけだ。リゼット以外の花嫁候補が清らかな心の持ち主だったとはとても思えない。

 いっそ、結婚自体を取りやめるか……。

 いや、そういうわけにはいかないだろう。ネスケルの言うとおり、自分に何かあったら、帝位はゲオルグに行くのだ。そうならないように、一刻も早く跡継ぎをつくらねばならない。

 私的な心は封印しよう。

 この帝国のために。

 ネスケルが最初に推していた貴族の娘とでも結婚するか。

 欲しくもない女でも構わない。

 跡継ぎさえ産めればいいのだ。
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