皇帝陛下の花嫁公募
「儂にできることはなんでもするぞ。こちらから毒を仕掛けるというのはどうだ? 人づてにいい毒を手に入れられるが」

 これを真顔で言っているから、我が祖父ながら恐ろしい。

「夫の叔母を毒殺なんかしないわよ」

「おまえの命が危ないんだぞ」

「向こうがわたしを殺そうとするかもしれないとは思っているけれど、確実にそうだと決まっているわけではないのよ。だいたい、人づてにそんなものを手に入れたりしたら、後々、ものすごく面倒なことになるわよ。お祖父様、ご自分が脅迫されたらどうするつもり? 大金を要求されるわよ」

『脅迫』と『大金』という言葉が、祖父の心に響いたらしい。心底、恐ろしいといった表情になった。これで勝手に毒を仕入れてくる可能性はなくなったようだ。

「なるほどなあ。おまえはなかなか頭がいい。それで、どうするつもりなんだ?」

 アマーナリアに送る手紙の話をすると、祖父は大きく頷いた。

「判った。絶対に届けよう。だが、それまでに儂の使用人を手伝いに行かせよう。おまえの護衛ほど腕が立つわけではないが、少しは役に立つだろう」

「ありがとう、お祖父様!」

 もし向こうが本気で何か仕掛けてくるなら、テオ一人の護衛では間に合わない。というより、そう思ったテオが無理しすぎることのほうが心配だった。テオと交替してくれる人間が一人でもいてくれれば助かる。
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