皇帝陛下の花嫁公募
「風邪をこじらせて軽い肺炎になっています。この薬を飲ませて、温かい寝床で栄養のあるものを食べさせていれば……。ただ、痩せ細っているから体力がもつかどうか心配ですね」

 確かに身体は痩せている。最初会ったときも、それは少し気になっていたのだ。あのとき、ちゃんと面倒を見てあげれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。

 あのときリゼットは自分に迫る危機のことしか考えていなかった。だから、気にはなったものの、見逃してしまったのだ。

 なんとか薬を飲ませて医者が下がった後、すぐにエミールの母親がナディアと一緒に入ってきた。彼女はエミールが心配でたまらないのに、まずリゼットにお礼を言い、こんな豪華なベッドで息子を寝かせるわけにはいかないとひたすら恐縮していた。

「そんなことはいいから、早くエミールに声をかけてあげて。それがエミールの病気にとって一番力になるんだから」

 母親はすぐさまベッドに近寄り、エミールの手を握ると声をかけた。エミールは目を開けて、嬉しそうににっこり笑う。リゼットはまた涙ぐみそうになってしまい、慌てて目をしばたたかせた。
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