皇帝陛下の花嫁公募
「どうなさったんです? リゼット様……わたし、一体……?」

「あなたはワインの毒見をして倒れたのよ。わたし達の身代わりになって……」

「ああ……そういえば……」

 ナディアが起き上がろうとするのを、リゼットは押し留めた。

「ダメよ、まだ起き上がっては。テオの毒消しの薬草が効いたのかもしれないけど、しばらく寝ていて。すぐに医者を呼ぶから」

 リゼットは扉を開けて、廊下で番をしているはずのテオを呼ぼうとした。が、そこテオと共に例の近衛兵がいることに気がついた。彼はナディアに付き添いたがっていたが、医者の診察のときにリゼットが追い出したのだった。

「ナディアが目を開けたわ」

 そう告げた途端、近衛兵はリゼットを突き飛ばすような勢いで中に入っていった。ベッドに駆け寄り、ナディアの手を取っている。

 二人だけの会話を聞かれたくないだろうから、リゼットは扉を閉めた。

「ナディアは大丈夫そうか?」

 テオも心配そうにしている。

「ええ。きっと毒消しが効いたんだわ。でも、一応、医者に診せたいと思って」

「呼んでくる。……リゼット様も少し休んだほうがいい」

「ナディアを医者に診せたらね」

 彼はクスッと笑った。

「相変わらず頑固だな」

「あなたもね」
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