皇帝陛下の花嫁公募
 アマーナリアでは、自分の容姿にそこそこの自信があった。絶世の美人でなくても、まあまあ綺麗で可愛いのではないかと。

 けれども、この華やかな帝都では、きっと並みの容姿なのだ。

 リゼットは早くもここにやってきたことを後悔し始めていた。何故なら、ドレスなどの支度に相当なお金をかけている。それから、ここに来るまでの旅費もかけている。それなのに、まったく歯が立たないとしたら、なんのためにはるばるやってきたか判らない。

 しかも、行く先々で侮辱されながら。

 とはいえ、花嫁を公募するような皇帝が相手なのだ。変わり者に違いない。変わり者なら、普通の皇帝が選ばないような相手を選ぶことだって考えられる。

 そうよ。わたしはまだ諦めないわよ!

 とにかく、皇帝の花嫁になれないなら、それに代わる花婿をなんとかして見つけたい。

 手ぶらで故郷に帰るわけにはいかなかった。何かしら成果を持って帰らないといけない。

 すべては愛するアマーナリアのためだ。
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