皇帝陛下の花嫁公募
 単に、玉の輿を目指していただけのときのほうがずっとよかった。護衛の言うとおり、屋敷でおとなしくしておけばよかったのかもしれない。

 そうしたら、花嫁の試験のことだけ考えていればよかった。

 アロイスは不意に尋ねてきた。

「君は皇妃になりたいのか?」

「よく判らないわ……。だって、今まで自分が皇妃になるなんて想像もしてなかった。もっとも、わたしが花嫁に選ばれるとは思えないけど」

「君はこんなに綺麗なんだ。皇帝の目に留まらないとは思えない」

 リゼットは急におかしくなって笑ってしまった。

「あなたは皇帝じゃないでしょ? 皇帝は綺麗な女の人なんて何人も知っていると思うわ。それに、集まっていた花嫁志望の人達はもっと綺麗なのよ」

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