MちゃんとS上司の恋模様




「貴女、大丈夫?」
「え?」

 何のことだろう。首を傾げる私に彼女たちは労るような目で見つめてくる。

「須賀さん、かなりのドSだっていう話じゃない? 貴女、大変な目に合っていないの?」
「えっと……その」

 会社ではドSで恐ろしい須賀主任だが、プライベートでは激甘だ。
 そのことを言おうかどうしようかと迷っていると、その沈黙を彼女たちは勘違いしてしまった。

「なにかすごいことをするっていう話でしょ?」
「すごいこと?」

 ますます意味がわからない。頭の中は、はてなマークでいっぱいだ。
 どういう意味かと聞こうとすると、彼女たちはそれを制止させた。

「いいの、それ以上は言わなくて良いわ。ただ貴女、相当のMよね」
「へ?」

 それだけ言うと、秘書課のキレイどころのお姉様方は去って行った。

 途方に暮れながらも、最後のひと言がひっかかる。
 相当のMって、一体どういう意味だろうか。

 彼女たちは須賀主任のことを“かなりのドS”だと言っていた。

 その言葉の対になるのは、Mだ。
 と、いうことは……なんだか彼女たちに大いなる勘違いを植え付けているように思えてならない。

< 179 / 182 >

この作品をシェア

pagetop