MちゃんとS上司の恋模様
ガーンと頭の中で鐘の音が鳴り響いている私に、主任はプッと声を出して噴き出した。
「お前の頭の中。手に取るようにわかるな。今、ネガティブなこと考えていたんだろう?」
「な、なぜそれを!」
慌てる私を見て、須賀主任はクツクツと意地悪く笑う。
「お前の顔にそう書いてある」
ササッと慌てて顔を手で擦ると、須賀主任は大きな声を出して笑い出した。
面白くなくて顔を歪めていると、彼はなんとか笑いを引っ込めて言う。
「大丈夫だ、麦倉。素直に褒め言葉として受け取ってくれればいい」
「は、はぁ……」
イマイチ信用にかける。
眉間に皺を深く刻む私の頭に、須賀主任の大きな手が乗る。
驚いて目を見開く私の頭を、須賀主任はゆっくりと撫でた。
「お前がいないと、この営業部はすぐにダメになる。それだけ麦倉に営業部が頼っているということだ」
「主任?」
目を見開いて須賀主任を見上げると、真摯な瞳で彼は私を見下ろしていた。
「誰よりもこの営業部の面々の仕事内容を把握しているのは麦倉だと思う」
「それは買いかぶりすぎだと思いますけど」
すでに正体がバレてしまった以上、猫を被っても無駄だろう。