MちゃんとS上司の恋模様



 憤慨している私に、須賀主任はフッと意味ありげにほほ笑んだ。
 だが、その笑みはとっても胡散臭い。
 警戒していると、須賀主任は晴れやかに笑って挑発してきた。

「これぐらいの仕事、麦倉の手にかかれば、すぐにできるだろう?」
「はぁ!?」

 食ってかかろうとすると、須賀主任はすかさず言葉を重ねてくる。

「俺はできないヤツには言わないぞ?」
「っ!」

 ズルイ。絶対にズルイ。そんなこと言われたらやるしかないじゃないか。

(ああ、だからか……)

 須賀主任が立ち去ったあと、部内を見回す。
 少し前までの営業部は活気もなく、仕事をとりあえずこなすといった雰囲気だった。

 本社から刺客がやってくるらしいという情報をキャッチしたときは、活気などなくただただ悲壮感に溢れていた。
 だけど、この二週間の間に部内の雰囲気は格段に良くなっている。

 それはきっと須賀主任が来たからだ。さすがはやり手。本社が立て直し要員として送り込んでくるだけのことはある。

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