MちゃんとS上司の恋模様
須賀主任の振る舞いや言動は一見無茶ぶりをしているように見える。
何度社員たちから悲鳴めいた嘆きを聞いたことだろう。
だけど、半ば命令で渋々動いていた社員たちがその仕事を終えたとき、意欲とやる気に満ちた表情を誰もがするのだ。
もちろん営業成績も徐々に回復に向かっている。この二週間だけで、だ。
このことで須賀主任への期待度、信頼度はググッと増し、今の営業部は活気を取り戻しているという訳である
私へのこの仕事の無茶ぶりも何かしら意味があってのことだろう。
そう思えるぐらいに、須賀主任の指示は的確なのだ。
無茶ぶりだけど。大切なことなので二度言っておく。無茶ぶりだけど!!!
それにしても絶対悪魔だ。鬼だ。手渡された書類を見てため息をつく。
ますます増えたファイルの山。それをあ然としながら眺めていると、宮間さんが感嘆のため息を零した。
「やっぱりステキよね、須賀主任。ああ、お近づきになりたいわぁ」
ほぉぅと甘ったるい声を出して目を潤ませている宮間さんに、私はファイルの山を指差した。
「代わりましょうか?」
「ううん、いらない。その仕事やったら須賀主任に怒られるし、その前に麦倉さんしかできないんでしょう?」
「う−」