MちゃんとS上司の恋模様
宮間さんの言う通りだ。
最初こそ雑用なのに……と思っていたのだが、そんな甘いものではなかった。
ファイリングをしつつ、営業ルートや過去のデータの確認までもしなくてはならないし、そこから今後の対策などにも目を光らせないといけない。
この営業部に来て一年に満たない宮間さんたちには難しい案件かもしれない。
だがしかし、彼女らのスキルアップを促せと須賀主任は最初に言っていなかったか。
それならこの仕事を敢えて彼女たちに渡してスキルアップを狙うという方法も悪くないのではと脳裏を過ぎる。
それを宮間さんに訴えたのだが、彼女からの言葉で諦めた。
「それは無理でしょう。私は一度志願したけど、速攻切り捨てられたし」
「それはそうだけど……もう一度トライしてみませんか?」
こうなってくると泣き落としだ。誰でもいい、この恐ろしい仕事の量をなんとかさばいてくれないものだろうか。
半泣きの私の肩をポンポンと叩く宮間さんの顔には、私に対しての同情が浮かんで取れた。
「私は今まで麦倉さんがやっていた仕事を頑張ってこなすから。……頑張れ?」
ガックリと項垂れる私を余所に、宮間さんは手を動かし始めた。