MちゃんとS上司の恋模様
私も凹んでいる場合じゃない。さっさと仕事に取りかからなければ、今日は残業になってしまう。
いや、もう残業は決定だ。日付が変わる前に帰ることができるか。その心配をしなくてはならないかもしれない。
あの須賀主任の補佐的な仕事を担えと言われているのだ。並大抵の努力じゃ追いつかないことだろう。
わかっているが、恨み節を唱えたくなるというものだ。
だけどそれを言うことができない。だって須賀主任が指示してくることは無駄がなく、「どうしてこの仕事をするのか」ということを丁寧に諭されてしまう。この話術に脱帽してしまうのだ。
その上、あの容姿ときたもんだ。男女問わず好意を抱いてしまうのは仕方がないことなのかもしれない。
だけど、私は悔しいから絶対にドキドキしてやらないし、他の女子社員のように「カッコいい!」なんて騒いでやらないから。
一人でブツブツ言いながら仕事をしていると内線が鳴った。
電話を取ると、渋くて柔らかい声が聞こえる。営業部二課の藍沢さんだった。