MちゃんとS上司の恋模様
『本当、何かあったら相談してね、麦倉さん。須賀は本社でも有名なぐらい女たらしでね……。麦倉さんみたいに可愛い子は狙われやすいから」
「ま、またぁ、私になんて興味すらわかないと思いますよ。でも、はい……何かあったら相談に乗ってくださいね」
『もちろんだよ。じゃあ、ファイルよろしくね』
それだけ言うと、藍沢さんは電話を切ってしまった。
残念。もう少しだけでも王子様のお声を聞いていたかった。
でもそれは仕方がない。今は就業時間中だ。
のんびり私とおしゃべりしている暇など藍沢さんにはないはず。もちろん、それは私にも同じことが言えるのだけど。
やっぱり藍沢さんはステキな男性だなぁ、と夢見心地でいる私の肩を誰かがポンと叩いた。