MちゃんとS上司の恋模様



 本当は大丈夫じゃないし、須賀主任に不満はたくさんある。
 だけど、須賀主任の主張することも理解しているつもりだ。

 私が遠慮していたから、営業部に他の部から異動になった先輩たちに仕事をなかなか振ることができなかった。
 そのことで仕事の効率も先輩たちの能力も上がらなかったということは事実である。

 良い機会だから他の営業事務の面々にスキルを上げてもらった方が良いはずだ。
 そして私が須賀主任の補佐として動けるようになれば、N支社営業課の成績もあがるかもしれない。

 頭ではわかっている。だけど、口で言うほど須賀主任の補佐は楽ではない。
 須賀主任は仕事ができる人だ。求められる量もスキルもハンパではない。
 だけど、こうなったら意地だ。絶対に絶対に認められてやる。

 ムン、と唇を真横に引いたあと、久美さんを見上げた。

「大丈夫です。こうなったら意地です。須賀主任が私に平伏すぐらいに仕事ができるようになってやりますよ」

 不敵な笑みを浮かべたあと、私は久美さんにピースサインをしたのだった。

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