MちゃんとS上司の恋模様



 しかし、須賀主任の容姿に頬を赤く染める女子の多いこと、多いこと。
 その一人一人に「目を覚ませ! 正気か!?」と言って回りたいほどだ。

 それほど腹立たしい。だって、こんなふうに理不尽な思いを抱いているのはN支社には私だけというのが本当に悔しいのだ。

 しかし、現在それを実行できないでいる。
 それはどうしてか。疑問に思われる方もいらっしゃることだろう。

(どうしてかって? それはすぐ横に悪魔がいるからですよー!)

 横に座る人物をチラリと盗み見る。
 長い足を組んで椅子の背もたれに身体を預ける様は、鬼軍曹という名に恥じぬ威圧感を感じる。

 ファイルを片方の手で持ち、食い入るように資料を読み込んでいる。
 その真剣な眼差しに思わずドキッと胸が高鳴ってしまったことは誰にも内緒だ。

 それにしても、黙っていればとても絵になる。黙っていれば、だけど。

 心の中で小さく毒気つく私の声が聞こえたのか。
 須賀主任は資料を見るのを止め、私に視線を向けてきた。
 慌てて視線を逸らすと、相変わらずのドS発言が飛び出した。

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