MちゃんとS上司の恋模様



 だがしかし、そんな久美さんの怒りにも素知らぬふりをする須賀主任。相変わらず強者だ。
 一触即発。そんな雰囲気の中、久美さんは私がやっている仕事を覗き込んできた。

「真琴ちゃん、私も手伝うわ」

 カバンをデスクに置き、隣の席に座る久美さんに須賀主任は冷たく言い放った。

「お前は帰れ。旦那が待っているだろう」
「うっさいわね! 鬼上司に無理難題を突きつけられて困っている後輩を黙って見過ごしたら、それこそ旦那に叱られるわ」

 久美さんはキッと鋭く目を細めて須賀主任を睨みつけたあと、山となっているファイルに手を伸ばした。
 だが、その手を須賀主任ははたいて阻止した。

「余計なことをするな、多田」
「はぁ!?」
「これはお前の仕事じゃない。麦倉の仕事だ。お前はさっさと帰れ」

 冷たく言い放った須賀主任に怒り心頭の久美さんは、私の手首を掴んだ。

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